基礎知識

緊急地震速報の仕組みは?なぜ誤報や誤差が起きるのか?

緊急地震速報とは?

私たちの日常生活の中で突然やってくる地震。その地震を感知して瞬時に知らせてくれる緊急地震速報。たった数秒ほど前であったとしても、「地震が来る!」という心構えができ、とっさに身を守る行動ができるのはとてもありがたいと思う反面、時には誤報や思ったほど揺れなかったということもあり、身構えたことが空振りに終わり切ない気分を味わうこともあります。

この緊急地震速報は、「速報」でありながら『これから強い揺れが来るかも知れない』という「予報」の意味もあり、大いに防災に役立っているのです。

【緊急地震速報とは・・・】

地震の発生直後に震源に近い地震計でとらえた観測データを素早く解析して、震源や地震の規模(マグニチュード)を推定し、これに基づいて各地での主要動の到達時刻や震度を予想し、可能な限り素早く知らせるものです。

この緊急地震速報の凄い点は、地震が発生した時にその観測データから瞬時に「震源」「規模(マグニチュード)」「各地の震度」をアウトプットし、速報として発信してくれることです。地震発生から速報が届くまで、なんと2〜3秒程度というからびっくりですね。

[地震発生から緊急地震速報が発信されるまでの流れ]

[1]震源…地震発生
[2]地震計…震源近くの地震計で地震波をキャッチ
[3]気象庁…震源・規模・震度などを自動計算し、緊急地震速報を発信
[4]テレビ・スマホ等…地震による強い揺れが始まる前に素早く知らせる

こうして、たった数秒であっても強い揺れが始まる前に速報をキャッチすることができれば、自らの身を守ったり、列車のスピードを落としたり、あるいは工場等で機械制御を行うなどに活用できるのです。ただし、震源に近い場所では、速報が間に合わないこともあります。

なお、地震波のデータから震源・規模・震度など瞬時に自動計算するため、予測された震度などに誤差を伴うなどの限界もあります。

地震より警報が早く伝わる理由

地震が起きると、震源からは揺れが地震波となって地面を伝わっていきます。地震波にはP波とS波があり、P波の方がS波より速く伝わる性質があります。一方、強い揺れによる被害をもたらすのは主に後から伝わってくるS波です。このため、地震波の伝わる速度の差を利用して、先に伝わるP波を検知した段階でS波が伝わってくる前に危険が迫っていることを知らせることが可能になるのです。

ちなみに、地震波の伝わる速度は、P波は7km/秒、S波は4km/秒程度ですが、情報伝達に使われている電気信号の速度は、約30万km/秒と非常に早いんです。

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緊急地震速報の発表の条件・内容

緊急地震速報(警報)が発表される条件は震度5弱以上

すべての地震について緊急地震速報が発表されるわけではありません。気象庁では『地震波が2点以上の地震観測点で観測され、最大震度が5弱以上と予想された場合に発表する』とされています。ただし、ここで言う「震度5弱以上」とはあくまでも予想値であるということです。

緊急地震速報(警報)の内容

緊急地震速報では、地震の発生時刻、発生場所(震源)の推定値、地震発生場所の震央地名、強い揺れ(震度5弱以上)が予想される地域及び震度4が予想される地域名が発表されます。

緊急地震速報(警報)で続報を発表する場合

緊急地震速報を発表した後の解析により、震度3以下と予想されていた地域が震度5弱以上と予想された場合には、続報が発表されることになっています。その続報では、新たに震度5弱以上が予想された地域及び新たに震度4が予想された地域が発表されます。その一方で、例えば震度5弱と予想していた地域が震度3以下との予想になった場合は続報は発表されることはありません。

つまり、地震のリスクを過小評価してしまった場合には訂正するが、過大評価してしまった場合には訂正しないということなんですね。

緊急地震速報の限界

先にもお伝えしたとおり、緊急地震速報は1秒でも早く「地震が来る」ということを知らせるために、短時間で地震波のデータを解析して情報発信していますので、発表内容に誤差が生じることや、そもそも速報が大きな揺れに間に合わない場合などがあり得るのです。そういう意味では、私たちは緊急地震速報は必ずしも完璧ではないということを認識しておかなければなりません。

気象庁では、緊急地震速報の限界として以下のような説明がなされています。

  • 地震が発生してからその揺れを検知し、解析や伝達に一定の時間(数秒程度)がかかるため、内陸の浅い場所で地震が発生した場合などにおいて、震源に近い場所への緊急地震速報の提供が強い揺れの到達に間に合わない場合があります。
  • 震度の予想が警報発表基準付近で推移したあと、大きな揺れを観測して速報の発表基準に達した場合に、緊急地震速報(警報)の発表が地震発生から数十秒後となり、結果的に強い揺れの到達に間に合わないことがあります。
  • 少ない観測点での短時間の観測データから地震の規模や震源を推定し、各地の震度等を予想するため、予想震度は±1階級程度の誤差を伴うなど、精度が十分でない場合があります。また、予想の誤差により、緊急地震速報の発表基準を満たさず、緊急地震速報が発表できない場合があります。
  • 地震観測網から比較的遠い場所(100㎞程度以遠)で発生する地震では、震源やマグニチュードの推定値の誤差が大きくなる可能性があります。
  • 深発地震(深さ100㎞程度より深い場所で発生する地震)では、沈み込むプレートに沿って地震波が伝わりやすいという性質が顕著に現れるので、震源の直上より震源から離れた場所で揺れが大きくなることがあります。したがって、深発地震においては、震源とマグニチュードから震度を予測する従来の手法では正確な震度の推定が困難となり、推定値に大きな誤差が発生することがあります。
  • マグニチュードが大きくなるほど、地震断層面におけるずれ破壊の開始から終了までの時間が長くなります。したがって、マグニチュードが大きな地震ほど、誤差が大きくなる可能性があります。
  • 1観測点のデータを使っている段階では、地震以外の揺れ(事故、落雷)や機器障害により誤った緊急地震速報を発表する場合があります。
  • 複数の地震が時間的・距離的に近接して発生した場合に、別々の地震と認識できず、規模の大きな1つの地震が発生したと認識するなどして、的確な緊急地震速報を発表できないことがあります。その結果、予想震度の誤差が大きくなることや、予想震度が大きな緊急地震速報を遅れて発表することがあります。

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緊急地震速報の入手方法

緊急地震速報の入手方法として一番馴染み深いのは携帯電話ではないかと思いますが、その他にもさまざまな方法で入手することができます。

テレビやラジオによる放送

日本放送協会(NHK)や民法の放送局では、気象庁の緊急地震速報(警報)を受けて文字や音声などにより放送されます。

防災行政無線による放送

総務省消防庁が整備している全国瞬時警報システム(J-ALERT)を用いた防災行政無線による放送が行われています。

携帯電話による受信

携帯電話各社により、携帯電話への緊急地震速報の配信が行われています。気象庁のホームページによると、現在、携帯電話の同報機能を使用して緊急地震速報を配信しているのは、NTT ドコモ、au、ソフトバンク、ワイモバイルの4社となっています。

施設の館内放送等

緊急地震速報の館内放送を行っている施設では、館内放送で緊急地震速報を知ることも可能になります。

民間の情報配信会社等が開発しているアプリ

民間の情報配信会社等が開発しているアプリを導入することで、緊急地震速報を受信することもできます。

新たな震度予想手法「PLUM法」とは?

平成23 年(2011 年)の東日本大震災では、震源から遠く離れた関東地方でも強い揺れを観測しましたが、従来手法ではこの強い揺れを精度良く予想することができませんでした。そこで、新たに開発・導入されたのが「PLUM法」です。

PLUM法は、巨大地震が発生した際でも精度良く震度が求められる新しい予想手法で、震源や規模の推定は行わず、地震計で観測された揺れの強さから直接震度を予想します。「予想地点の付近の地震計で強い揺れが観測されたら、その予想地点でも同じように強く揺れる」という考えに従った予想手法であり、予想してから揺れがくるまでの時間的猶予は短時間となりますが、広い震源域を持つ巨大地震であっても精度良く震度を予想することができます。

気象庁の緊急地震速報では、従来の手法とPLUM法の両手法での予想震度を比較(両手法をハイブリッド)して、大きい方の予想を基に発表しています。

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