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パンデミックとは?
パンデミック(pandemic)とは,感染症や伝染病が世界的に大流行する状態を指し、日本では「感染爆発」と訳されることもあります。
過去に起きたパンデミックとしては、14世紀にヨーロッパで流行したペスト(黒死病)、19世紀から20世紀にかけ地域を変えながら7回も大流行したコレラ、第一次世界大戦中の1918〜1919年にかけて猛威を振るったスペインかぜ(インフルエンザ)、1968年に発生した香港かぜなどがあります。スペインかぜは世界人口の約50%が感染し死者が2000万人以上、一説には4~5000万人と言われています。
世界保健機構(WHO)は流行の規模に応じ、地域的なエンデミック、国内ないし数か国のエピデミック、世界的で規模が最も大きいのをパンデミックと使い分け、1~6の警戒段階を設けています。
WHOにおけるインフルエンザパンデミックフェーズ
WHO(世界保健機関)は、世界にパンデミックの脅威の深刻さおよび事前に対策計画を準備する活動を実施する必要性を知らせるための制度として、パンデミック警戒レベルとして6つのフェーズを用いています。
フェーズ1 (前パンデミック期)
ヒトから新しい亜型のインフルエンザは検出されていないが、ヒトへ感染する可能性を持つ型のウイルスを動物に検出
フェーズ2 (前パンデミック期)
ヒトから新しい亜型のインフルエンザは検出されていないが、動物からヒトへ感染するリスクが高いウイルスが検出
フェーズ3 (パンデミックアラート期)
ヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、ヒトからヒトへの感染は基本的に無い
フェーズ4 (パンデミックアラート期)
ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、感染集団は小さく限られている
フェーズ5 (パンデミックアラート期)
ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認され、パンデミック発生のリスクが大きな、より大きな集団発生がみられる
フェーズ6 (パンデミック期)
パンデミックが発生し、一般社会で急速に感染が拡大している
後パンデミック期
パンデミックが発生する前の状態へ、急速に回復している
新型ウイルス感染症によるパンデミックの脅威
新型ウイルスがひと度流行し始めると、誰も感染したことがない新型ウイルスなので、世界中の人類は誰も免疫を持っていないため、世界中に爆発的に感染が拡大する可能性があります。
現在は交通機関や運送手段の発達により人・モノの移動が増加し、人口増加・都市への人口集中などで、新型ウイルス感染症が流行すると特定の国や地域だけにとどまらず、世界的に急速に感染が拡大しパンデミックが起きやすい状況にあります。
現代社会において感染症リスクを増大させている要因として、「温暖化」「グローバル化」「人工増加」が指摘されています。地球温暖化により媒介動物の蚊の分布や個体数が増加する可能性があるほか、自然宿主である鳥類などの分布が温暖化で変わることにより、感染症にかかるおそれのある地域や時期が拡大する可能性があるのです。また、グローバル化は、航空網・道路網の発達で病原体をまたたく間に世界中に拡散させる恐れがあります。さらに、人口の座うかに伴い人の居住域が拡大し森を破壊、野生動物との接触が増え、新たな病原体が人に感染するリスクが高まるのです。
パンデミックになると生活はどう変わる?
人の移動やイベントの開催が制約される
パンデミックになるまでに、人の移動は段階的に制約を受けることになります。まずは、海外から日本への入国が禁止されたり空港で検疫所が設けられ、水際対策が始まります。その後、国内での感染者が増加すると、外出や出勤が自粛される可能性があります。さらに、イベントの自粛、学校の一斉休校などへと発展していくことが想定されます。
なお、日本国内では海外のような都市封鎖を行うことはできません。また、外出自粛についても強制力のある発動は困難なのです。
各種施設の運営・店舗等の営業が自粛される
外出自粛とは言っても、あくまでも不要不急の外出が制約されるのであって、食料品や生活必需品の買い物、医療機関への受診などのための外出は可能です。住民が最低限の外出のみにとどまるように、住民の日常生活に必要な物の販売・サービスの提供以外は、営業自粛の要請が行われます。
パンデミックによる三大リスク
医療崩壊のリスク
感染拡大により感染者が急増し医療体制が追いつかなくなり、助かる命を助けられなくなる状態になることを一般的に「医療崩壊」と言われます。医療崩壊に陥る過程では、病院内で感染が拡散する「院内感染」やマスク・防護服などの医療資材の不足、病床数・重篤患者向けの医療器具の不足などが起き、医療機関が機能低下に陥ると考えられています。
民衆がパニック状態となるリスク
不安心理から民衆が食料品や医薬品の買い占めに走ったり、集団での略奪行為などが起こるリスクが想定されます。
差別・暴力・自殺などが増加するリスク
パンデミックによる不安な状態が長期化すると、ウイルスによって人心まで蝕まれることが指摘されています。感染者や感染しているかもしれない人に対する差別行為が横行したり、暴力行為が多発することが指摘されています。また、経済的に困窮したり差別を受けたりすることにより自殺者が増える可能性もあります。
パンデミックとなったら、どう行動すべきか?
徹底した感染予防の行動を行うこと
パンデミックになった際に一番重要なことは、一人ひとりが責任ある行動を行い、感染しないための予防的行動を徹底して行うことです。一人ひとりが感染しないように心がけることが、医療崩壊を防ぐことにもつながるのです。
感染症予防の鉄則
鉄則1 手洗い
・石鹸で洗ってからアルコール消毒
・30秒以上しっかり洗う
鉄則2 マスク着用
・隙間なく密着させて使用する
・マスクの表面は触らない
鉄則3 免疫力アップ
・体を温めて血行をよくする
・乳酸菌で腸の働きを整える
鉄則4 室内環境の維持改善
・温度20度以上、湿度40〜60%に保つ
・こまめな換気でウイルスを逃がす
外出自粛の徹底
とにかく極力外出しないことが一番です。スーパーへ買い物に行く際にも、少人数で短時間で済ませること、人混みには近寄らないことが重要です。
地域で協力・助け合う
地域の住民が助け合って難局を乗り切ることが大切です。地域のために自分ができることはなんだろう?ということを考えて行動して欲しいですね。
パンデミック映画で疑似体験して学ぶ
「もし、パンデミックが起きたら…」と思っても、想像力を働かせていざという時に備えるというのは簡単ではありません。パンデミックを学ぶ一番良い方法は、映画を鑑賞することです。
これまでに多くのパンデミック映画が上映されていますが、中でも一番勉強になるのが「コンテイジョン」(2011年・アメリカ)です。
映画「コンテイジョン」
ストーリー
香港出張からアメリカに帰国したベスは体調を崩し、2日後に亡くなる。時を同じくして、香港で青年が、ロンドンでモデル、東京ではビジネスマンが突然倒れる。謎のウイルス感染が発生したのだ。新型ウイルスは、驚異的な速度で全世界に広がっていった。
米国疾病対策センター(CDC)は危険を承知で感染地区にドクターを送り込み、世界保健機関(WHO)はウイルスの起源を突き止めようとする。だが、ある過激なジャーナリストが、政府は事態の真相とワクチンを隠しているとブログで主張し、人々の恐怖を煽る。その恐怖はウイルスより急速に感染し、人々はパニックに陥り、社会は崩壊していく。国家が、医師が、そして家族を守るごく普通の人々が選んだ決断とは──?