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女性にAEDを使って心肺蘇生をする際の留意点
目の前に心肺停止の傷病者が横たわっている状況を想像してみてください。こういった一刻を争う場面では、傷病者が女性であったとしてもAEDの使用をためらっている時間的余裕はありません。目の前の傷病者の救命に必要な最善の方法をとるべきなのです。
ある大学の研究グループの調査では、『傷病者が女性の場合、男性よりもAEDが使われにくい』という残念な結果が発表されています。この結果から、倒れている人が女性の場合、素肌を出してAEDを使用することに一定の抵抗感があるのではないか…ということが推測されます。
一方で、女性に対する配慮を心がけることも必要です。そこで、女性にAEDを使って心肺蘇生をする際の留意点についてまとめてみました。
[1]金属製のアクセサリーを外す
傷病者の胸元に電気を通す金属製のアクセサリーを付けている状態でAEDを使用すると、電気ショックの効果が低下するだけでなく、スパークを引き起こし火傷を起こすおそれがあります。特に傷病者が女性の場合、ネックレスやペンダントなどの金属製アクセサリーを身につけていることが多いので、AEDを使用する前にアクセサリーの有無を確認することを心がけましょう。
アクセサリーを外すのが難しい場合は、素手またはAEDに付属しているレスキューセットのハサミで切断するか、できるだけ電極パッドからアクセサリーを遠ざけるようにしましょう。
[2]下着は必ずしも全て脱がせる必要はない
AEDの使用にあたっては、電源を入れてから2枚の電極パッドを傷病者の右胸(鎖骨の下)と左わき腹の素肌に貼りますが、その際に傷病者の衣服や下着をすべて脱がせる必要はありません。電極パッドを装着させるのに必要な素肌が露出できれば、下着をずらして貼ることで対応が可能なのです。また、電極パッドを貼ったあと、 その上から服やタオルなどをかけて肌を隠すようにしても、AEDの機能に影響はありません。
ブラジャーの多くには金属製のホックが使用されているため、かつては金属製アクセサリーと同様にブラジャーも取り外すべきという考え方が主流でした。しかし、最近ではブラジャーを必ずしも外す必要はないという考え方に変わってきています。むしろ、ブラジャーの取り外しに時間をかけるほうがリスクが高くなります。重要なことは、一刻も早くAEDによる電気ショックを行うということなのです。
[3]女性に対する配慮が大切
専門家のコメントによると、傷病者が女性の場合、その女性の服をめくったり開いたりして素肌に電極パッドを装着する行為は、救命目的であればセクハラなどの責任を問われることはありません。AEDの使用をためらって助かる命が救えなくなる事態や後遺症が残るリスクのほうが問題なのです。
とは言っても、傷病者が女性である場合には、いろいろと配慮をすることが大切です。衣服は全て脱がせる必要はなく、下着をずらして電極パッドを貼ることで対応できます。また、電極パッドを貼った後、その上から衣服などをかけて素肌を隠してもAEDの機能に影響はありません。さらに、周りの人たちが人垣を作るという配慮も可能です。
[4]AEDによる救命行為が罪になることはない
厚生労働省では、一般市民が人命救助のためにAEDを使用する場合、刑事罰、民事罰ともに「原則として免責される」という方針を打ち出しています。つまり、一連の救命措置の流れから逸脱しておらず、AEDの指示に従った行為であれば、性的行為とみなされることはありません。倒れている人が女性でも男性でも、全力で救命措置にあたるべきなのです。ためらっている暇はありません。
2017年頃に、「女性にAEDを使用する行為がセクハラやわいせつ行為になり訴えられる」という内容の情報がネット内で広がったことがありますが、これは悪質なデマです。
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